はじめに
ドローンの飛行許可・承認は、一度取得すれば継続的に使えるものではなく、有効期限が設定されています。特に業務でドローンを使用している場合、この期限管理を誤ると、無許可飛行となるリスクがあり、コンプライアンス上の問題だけでなく、業務そのものに支障が出る可能性があります。
実務の現場では、「更新時期を把握していなかった」「包括申請だから問題ないと思っていた」「申請中なら飛ばせると誤解していた」といったケースが一定数見受けられます。
本記事では、ドローン飛行許可の更新手続きについて、基本的な仕組みから具体的な流れ、期限の考え方、実務上の注意点、よくある誤解までを体系的に解説いたします。
ドローン飛行許可の有効期限
ドローンの飛行許可・承認(いわゆる包括申請)は、原則として「1年間」の有効期間が設定されています。これは航空法に基づく運用であり、例外的なケースを除き、1年ごとに更新が必要です。
許可書には必ず有効期間が明記されており、「○年○月○日から○年○月○日まで」といった形で表示されます。この終了日を1日でも過ぎた場合、その許可は自動的に失効します。
ここで重要なのは、「更新申請を出していれば有効」というわけではない点です。あくまで新しい許可が発行されるまでは、旧許可の期間内でしか飛行できません。したがって、更新申請のタイミングは実務上非常に重要になります。
更新手続きの位置づけ
更新手続きは一般的に「延長」と捉えられがちですが、実際には「既存内容をベースにした再申請」に近い性質を持ちます。
DIPS2.0では過去申請をコピーして入力できるため手間は軽減されますが、審査自体は新規申請と同様に行われます。そのため、形式的には更新でも、内容に不備や不整合があれば差し戻しとなります。
特に以下のような変更がある場合は注意が必要です。
・機体の入れ替えや追加
・操縦者の変更
・飛行内容や目的の変更
・飛行マニュアルの改訂
これらを反映せずに更新すると、実態と異なる許可内容となり、結果的に違反状態になる可能性があります。
更新はいつからできるのか
更新申請は、有効期限満了前であればいつでも可能です。明確な開始制限はありませんが、実務上は「期限の1か月前」から準備を始めるのが一般的です。
理由としては以下の通りです。
・審査に数日〜2週間程度かかる
・差し戻し対応に時間が必要
・繁忙期は処理が遅れる可能性がある
特に年度末や連休前は申請が集中しやすく、通常より時間がかかる傾向があります。そのため、遅くとも2〜3週間前には申請を完了させておくのが安全です。
更新手続きの具体的な流れ
1. DIPS2.0へのログイン
更新手続きは、国土交通省のオンラインシステム「ドローン・ラジコン機の飛行許可・承認申請システム(DIPS2.0)」から行います。
2. 過去申請の複製
更新の場合、過去の申請データを呼び出して複製することができます。これにより、ゼロから入力する必要はありません。
ただし、この機能はあくまで「入力補助」であり、そのまま提出することは推奨されません。
3. 各項目の確認・修正
以下の項目は特に重要です。
・機体情報(登録番号・リモートID対応状況など)
・操縦者情報(資格・経験含む)
・飛行目的
・飛行方法(夜間・目視外など)
・安全対策
実務では、この確認工程を省略したことによる差し戻しが多く見られます。
4. 申請・審査
申請後、国土交通省による審査が行われます。不備があれば差し戻しとなり、修正後に再提出が必要です。
5. 許可書の発行
審査が完了すると、新たな有効期間が記載された許可書が発行されます。この時点で初めて更新が完了したことになります。
更新手続きの注意点
期限切れのリスク
最も重大なリスクは、許可の期限切れです。更新を忘れていた場合、その期間の飛行はすべて無許可となります。
申請中は飛行できない
更新申請を提出していても、新しい許可が発行されるまでは飛行できません。この点は誤解が多い部分です。
包括申請の過信
包括申請を取得している場合でも、すべての飛行が許可されているわけではありません。更新時には、その範囲が適切か見直す必要があります。
内容不一致のリスク
実際の運用と許可内容が一致していない場合、形式的には許可を持っていても違反となる可能性があります。
期限が切れた場合の対応
有効期限を過ぎた場合、更新はできず、新規申請として扱われます。
また、新規申請が完了するまでの間は許可が存在しないため、該当する飛行は行えません。業務利用の場合、この空白期間は大きな損失につながる可能性があります。
行政書士に依頼するケース
更新手続きは自身で行うことも可能ですが、以下のようなケースでは専門家への依頼が検討されます。
・複数機体・複数操縦者を管理している
・毎年の更新管理が煩雑
・差し戻し対応に時間を割けない
・許可内容の適正性に不安がある
専門家に依頼することで、申請内容の整合性確保や手続きの効率化が期待できます。
よくある誤解
「更新すれば自動的に同じ内容になる」
実際には、内容確認を行わなければ不整合が生じる可能性があります。
「期限当日に申請すれば間に合う」
審査期間を考慮すると現実的ではありません。
「包括申請があればどこでも飛ばせる」
飛行場所や方法によっては別途手続きが必要です。
更新管理の実務ポイント
更新を確実に行うためには、以下のような管理が有効です。
・カレンダーで期限を管理する
・複数名でチェック体制を構築する
・定期的に許可内容を見直す
・早めの申請を徹底する
特に法人や事業者の場合、担当者任せにせず、仕組みとして管理することが重要です。
まとめ
ドローン飛行許可の更新手続きは、単なる形式的な延長ではなく、現在の運用状況に合わせた再確認・再申請のプロセスです。
期限管理を怠ると無許可飛行となるリスクがあるため、余裕を持ったスケジュールでの対応が求められます。また、更新のタイミングは許可内容を見直す良い機会でもあります。
継続的に安全かつ適法にドローンを運用するためには、更新手続きを適切に行うことが不可欠です。
ご相談について
当事務所では、ドローン飛行許可の更新手続きについて、期限管理から申請対応まで一括してサポートしております。
更新時期が近い方、内容に不安がある方は、お気軽にご相談ください。


